• TOP
  • ご挨拶

ご挨拶

一般社団法人 UHC機器開発協議会

代表理事 中島 清一


大阪大学国際医工情報センター
次世代内視鏡治療学 特任教授

大阪大学大学院医学系研究科
外科学講座 消化器外科学(併任)

 当法人は、世界中のすべてのひとがアクセスできる普遍的な医療福祉Universal Health Coverage(UHC)の実現を目指し、我が国が世界に誇れる「ものづくり技術」や、環境にやさしくモノを大切にする「もったいない精神」、他人を気遣い優しく思いやる(利他的)「おもてなしの心」、等の日本的文化、価値観を通じて、安価でも高性能かつ人や環境に優しい医療機器の研究開発の推進・支援を目的とする団体です。

 具体的には、新興国の医療現場を直接体験することによって、現場の臨床ニーズを見いだし、これら を解決する革新的な医療機器を日本のものづくり力を基盤として、新興国との協働で創出するため、 事業化に必要な情報の共有、基盤の整備、人材の育成等を行うというものです。法人の英語表記はHealthcare Engineering using Appropriate and Realistic Technologies(略称HEART)としました。真に使いやすいデバイスを世に送り出そうという我々のHEARTに共感いただければ幸いです。

 現在、世界で流通している医療機器の多くは先進国で開発されたものです。これらは極めて高機能ですが、残念ながら、ほとんどの医師、医療機関では、すべての機能を使いこなせていません。サイズも大きく、価格も高く、メンテナンスも容易ではないことが通例ですが、「こんなに性能の良すぎる機器は要らない」という声は医療従事者からも、もちろん患者さんからも聞こえてきません。現行のハイエンド機器の多くは、先進国を悩ませている医療コスト高騰の遠因となっているにもかかわらず、先進国の医師、開発業者みずからが医療機器の基本性能を考え直す、という動きはなかなか出てきていないのが実情です。社会構造の変化にともない、医療費の高騰が避けられない中、このままでは医療制度の持続可能性にも影響するのではないかと危惧しています。

 また、これらハイエンド機器はその価格、要求される設置環境等からしても、新興国の医療現場にとっては導入困難なもので、先進国と新興国における医療へのアクセス格差の大きな原因となっています。新興国ではインフラの整備が進んでいないこと等から機器の設置環境も悪く、メンテナンスを行う者のスキルも高くありません。そのような現場でも使えるデバイスは、電源が不安定であっても、埃や高温に晒されても正常に作動し、高度なメンテナンス技術がなくても壊れない、タフで省電力、安価なものになる筈ですが、そうした現場環境のない先進国で開発されることはないのです。

 一方、このような機能は単純でも安価でタフな機器は、近年、先進国でもその役割が期待されています。新興国から先進国へ逆流(リバース)させることで、先進国の医療従事者も初めて「この機器で充分じゃないか」とその合理性、利便性に気づくのです。我々は、このような「リバース・イノベーション」が先進国医療の高コスト体質を改善する大きな力になると考えています。当法人は、このように先進国、新興国を問わず広く受け入れられるUHC機器の開発をめざして情報を共有し、お互いを啓発していこうという人々、企業の集まりです。

 私は長く医療機器の研究開発に携わり、多くの企業と連携して先進的な医療機器を世に送り出してきました。次世代型低侵襲治療の実現をめざして大学の講座を主宰するとともに、医療機器開発のための基盤整備、人材の育成にも注力してまいりました。新しい医療を実現する革新的なデバイスの開発は、先進国で活動する我々研究者の大きな責務であり、それなくして医療は進歩しないと考えています。しかしながら同時に、まったくUHCを意識しないデバイス開発は世界的な潮流とはあきらかに異なるとも考えています。海外の先進企業は既に新興国目線でのUHCデバイス開発と、それらを通じた先進国市場の変革にシフトし始めています。自分たちの持つ技術や製品を世界的視野で活かすとともに、多くの課題を抱える我が国医療制度の高度化にも貢献することを目指し、我々と一緒に活動しましょう。

ページのトップへ戻る